ブログ開始時に最初に立ち上げた本シリーズですが、思いの外、長期連載になってしまいました。

手数という簡単な情報も、調べていくと様々な将棋の性質と関係していることが分かり、話が拡がると同時に、少しずつ理解が深まってきた感じがします。

最初の「手数と投了 2:棋士の投了手数」では、棋士棋譜集の手数分布について整理しました。特に、外れデータや規格化について、注意深く議論を行いました。

続いて、「手数と投了 3:棋士の未投了率における長手数テールと冪乗則」では、棋士棋譜集の手数分布の長手数部分に冪乗則が現れることを示しました。この原因は未だに謎です。256手ルールだと長手数部分は消えてしまうため、コンピュータ将棋での検証も容易ではないと思われます。

次に、「手数と投了 4:floodgateにおける投了手数」では、floodgate棋譜集の手数分布を整理して、棋士棋譜集との平均手数の違いを明らかにしました。しかしながら、floodgateの平均手数は今後も大きく変わりそうです。

また、「手数と投了 5:自己対局における投了手数」では、BonanzaとAperyの自己対局棋譜における平均手数を解析し、自己対局においては平均手数が大幅に上昇することを示しました。また同時に、思考時間の増加により、平均手数が伸びるという傾向も示しました。

さらに、「手数と投了 6:様々な連続対局における投了手数」では、BonanzaとAperyの様々な連続対局における平均手数を解析し、平均手数が読みの類似性を反映していることを明らかにしました。

この新たな知見に基づき、「手数と投了 7:floodgateにおける投了手数 改」では、改めてfloodgate棋譜集の平均手数の詳細を再解析し、平均手数とレートとの間の詳細な関係構造を明らかにしました。

手数については、まだまだ他に論点もあるでしょうし、また、本シリーズから派生したコラム記事も多数ありますが、区切りもいいところですので、本シリーズは一旦ここで締めたいと思います。

なお、当初予定していた投了条件の評価値閾値の話は、評価値と勝率との関係から議論した方がよいと思い直しましたので、改めて別のところで論じたいと思います。